「これ、ホラーだよね……?」と観た人が首をかしげること必至の映画『マリグナント』。
ジェームズ・ワン監督が手がけた本作は、グロいシーンやゾッとする演出でホラーファンを唸らせる一方、思わず笑ってしまうような突飛な展開や、観ていてちょっと気まずくなるような場面もあり、賛否両論を巻き起こしています。
「つまらない」という声もあれば、「クセになる!」という評価もあるこの異色作。
一体どういう話なのか? 本当にグロいだけの映画なのか?
この記事では、『マリグナント』のストーリーの概要から衝撃シーン、笑える演出、評価の分かれるポイントまで、ネタバレを避けつつ丁寧にご紹介していきます。

グロいだけじゃない?『マリグナント』の衝撃シーンまとめ

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『マリグナント』は確かにグロテスクな描写が目立ちます。
流血はもちろんのこと、肉体が異常な方向にねじれるシーンや、脳や骨が露出するようなリアルで生々しいビジュアル表現がいくつも登場します。
映像の力で観る者にショックを与える演出が随所にあり、ホラー耐性があまりない方にはかなり刺激が強いかもしれません。
目を覆いたくなる瞬間がいくつもあるので、そういった描写が苦手な方は心の準備が必要です。
しかしながら、この映画の魅力は単に“グロい”というだけでは到底語りきれません。
確かにビジュアル的に衝撃的なシーンは多いのですが、それらが単なる恐怖のための装飾ではなく、物語の本質や展開にしっかりと結びついています。
つまり、視覚的恐怖はあくまで手段であり、それを通じて登場人物の過去やトラウマ、物語の核心に迫っていく構成になっているのです。
特に注目したいのが後半のアクションシーン。
ここではホラーというジャンルの枠を超え、まるでスプラッターとアクションが融合したような異色の映像体験が展開されます。
カメラワークも独特でスピード感があり、まさに「何を観ているんだろう?」と観客が思わず混乱するような、驚きに満ちた演出が連続します。
視覚的インパクトだけでなく、ストーリー的にも重要な転換点が含まれているため、一瞬たりとも目が離せない展開です。
観てて気まずい…!?『マリグナント』の微妙に居たたまれないシーンとは

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本作には「ちょっと気まずいな……」と感じるシーンも散見されます。
たとえば、登場人物たちのセリフがやや浮いていたり、演技が妙にオーバーだったりして、シリアスな雰囲気の中で突然現実に引き戻されるような、微妙なズレを感じる瞬間があるのです。
こうした場面は、作品に没入しようとする観客の集中をふいに外してしまうこともあり、「今の演出、わざと?」と戸惑う人も多いかもしれません。
また、家族間の微妙なやりとりや、キャラクター同士の関係性の描き方にやや不自然さを感じる部分もあります。
特に、感情の起伏が唐突で、共感しづらいまま話が進行する場面では、誰かと一緒に観ていたら思わず顔を見合わせてしまうような“いたたまれなさ”を覚えるかもしれません。
さらに、説明口調のセリフが連続する場面や、過去の出来事を無理やり口頭で語らせるような流れもあり、演出としてやや稚拙に映る可能性もあります。
これらは“B級ホラー”らしいと言えばらしいのですが、作品全体のテンションにバラつきがあるため、観る人によってはそのギャップが心地よいどころか、居心地悪く感じてしまう要素になってしまいます。
ある意味では、意図的に不安定な演出を取り入れることで独特の空気感を出しているとも言えますが、その狙いが伝わらなければ単なる違和感に終わってしまう恐れもあるのです。
つまらない?それともクセになる?『マリグナント』に対する評価が真っ二つな理由

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ネット上では「つまらない」と評する声もあります。
その主な理由としては、ストーリー展開の突飛さや、演技・演出の“チープさ”が挙げられます。
特に、序盤のホラー的な雰囲気や緊張感がしっかりと構築されていたにもかかわらず、後半で一気に雰囲気が変わることに違和感を覚える人が多いようです。
ジャンルがホラーからアクション寄りに切り替わることで、恐怖よりも荒唐無稽な印象が強くなり、「最初の雰囲気が良かったのに、後半で冷めた」という感想につながっています。
また、登場人物の言動や展開に説得力が感じられないという意見もあり、ホラー映画に期待される“リアリティの中の非日常”がやや希薄だと捉えられているようです。
演出や編集も粗さが目立つ箇所があり、「雑なB級映画」というレッテルを貼る人もいます。
ただ一方で、「あの展開を楽しめたら勝ち」とも言えるほど、中毒性のある映画であるのも事実です。
王道ホラーの型を壊すようなジェームズ・ワンの尖ったアイデアと、あえて突き抜けた演出が、「ここまでやるか!」と観客のツボを刺激するのです。
B級映画の王道を行くようなバランス感覚と、ジェームズ・ワンらしい演出にハマる人はとことんハマります。
一度観ただけでは消化しきれない内容なので、繰り返し観て細部の演出や伏線を拾いながら考察を深める人も多い作品です。
観る人を選ぶとはいえ、確実に印象には残る映画でしょうし、「誰かと語りたくなる映画」として記憶に残る一本になることは間違いありません。
まとめ:『マリグナント』は“変わり種ホラー”を求める人におすすめ!

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『マリグナント』は、グロテスクな描写や気まずい場面、そして思わず笑ってしまうような演出が混在した、非常にユニークでクセの強いホラー映画です。
ホラー映画と言えば「ただ怖いもの」というイメージを持っている方には特に驚きがあるかもしれませんが、本作はその“固定観念”を見事に打ち砕いてくれます。
怖いのに笑える、真剣なのにどこかふざけているような、不思議なバランスが絶妙なのです。
ホラー映画にちょっと飽きてきたな……というマンネリ気味のファンには、とても新鮮に映るはずです。
もちろん、王道の恐怖や持続する緊張感、じわじわと迫ってくるようなサスペンスを期待している人にとっては、「なんだこれは……?」と肩透かしを食らう展開もあるでしょう。
物語の途中から一気に方向性が変わるため、そこで感情移入ができなくなる方もいるかもしれません。
しかし、むしろその“裏切り”こそが作品の大きな魅力とも言えます。
「なんだこれ!」と心の中で突っ込みながら、次の瞬間には爆笑し、さらにその次にはゾッとする──そんなジェットコースターのような体験が、この映画の醍醐味です。
本作を観るときは、ホラー映画としての“正しさ”を求めるよりも、型破りな展開を楽しむ心構えがあるとより深く楽しめます。
そして、観終わったあとに誰かと「アレ、どうだった?」と語り合いたくなるような、不思議と後を引く魅力があるのも本作の特徴です。
情報はすべて2025年6月時点のものをもとに記載しており、映画の内容や公開情報、監督のインタビューや批評家の論評などを参照し、正確で信頼性のある記述を心がけています。